てらポチの大阪弁講座 LESSON 5 文法・文末表現
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表の見方の説明です。

大阪弁文法・文末表現 文法・文末表現共通語訳
備考
大阪弁例文 例文共通語訳
大阪弁
共通語
ア行
〜ぃたい (〜ぇたい) 〜たい
動詞の活用表において語幹のない動詞の場合、連用形での語幹の母音を伸ばして発音される事が多い。
ただし、終止形と連体形に限り、他の活用にはあてはまらない。
(例)「しぃたい(=したい)」【終止形】、「したなる(=したくなる)」【連用形】、「したかった(=したかった)」【連用形】
…ただ、伸ばさない形(=共通語形)でも、特に問題なく使用可能。
「はよ家帰ってゲームしぃたいなぁ」 「早く家に帰ってゲームをしたいなぁ」
「そろそろ出ぇたいねんけど」 「そろそろ出たいのだけれども」
「ちゃっちゃと歯ぁ磨いて布団で寝ぇたいわ」 「さっさと歯を磨いて布団で寝たいよ」
「いっぺんでええから直に見ぃたいなぁ」 「一度でいいから直に見たいなぁ」
いっこも〜 全く、ひとつも
必ず否定表現で結びます。文法表現LESSON 4 語彙にも記載しております。
「この芸人、いっこもおもんないなぁ」 「この芸人は全く面白くないなぁ」
「昨日もうたお饅頭やったら、もういっこも残ってへんで」 「昨日もらったお饅頭なら、もうひとつも残っていないよ」
〜いな (〜ぁな、〜ぃな、〜ぅな、〜ぇな、〜ぉな) 〜なんだ、〜なの ほか
大阪弁の強調表現として頻繁に用いられるもので、疑問のニュアンスを含んでいます。
「い」の部分は前の音に引っ張られて母音がしょっちゅう変化します。
「ほんまかいな」 「本当なのか」
「まだ寝てんのかいな」 「まだ寝ているのかい」
「誰がぁな」 「誰がなの」「誰がなんだ」「誰がだよ」
「いつぅな」 「いつなの」「いつなんだ」「いつだよ」
「なんでぇな」 「何故なの」「何故なんだ」「何故だよ」
「何処でぇな」 「何処でなの」「何処でなんだ」「何処でだよ」
「何処ぉな」 「何処なの」「何処なんだ」「何処だよ」
カ行
〜かて (1) 〜ても、〜たって、
(2) 〜だって
共通語「〜ても」も併用しています。
(1)「そんな事ゆうたかて…」 (1)「そんな事言っても…」/「そんな事言ったって…」
(2)「うちかてそんなつもりやなかってん」 (2)「私だってそんなつもりではなかったの」
〜かったかて (→〜かっても)
〜かって 〜くて
形容詞の連用形はウ音便が主流ですが、この「かって」を用いる活用の使用頻度も決して少なくはありません。
更なる具体例につきましては、
LESSON 2 形容詞・形容動詞をご参照下さい。
「探してみてんけどそこにはなかってな」 「探してみたのだけれどもそこにはなくてね」
「あの鍋、まだ熱かってよう持たんかったわ」 「あの鍋、まだ熱くて持つ事なんてとても出来なかったよ」
〜かっても 〜くても
「ちょっとくらい低かってもええやん」 「ちょっとくらい低くてもいいじゃない」
〜かってん 〜かったんだ
「今ではあんなんやけど、若い頃は優しかってんで」 「今ではあんな風だけれども、若い頃は優しかったんだよ」
〜がな (1) 〜じゃないか
(2) 〜ってば
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
(1)「〜やん」より比較的高年齢層で使われます。また、「〜やん」に比べ、嘆きの度合いが強いように思われます。
(2)若年層では「〜って」が使われます。
(1)「通り道におったら邪魔になるがな」 (1)「通り道にいると邪魔になるじゃないか、全くもう」
(2)「そら怒られて当然やがな」 (2)「それは怒られて当然だってば」
(2)「恋人ちゃうがな。ただの友達やがな」 (2)「恋人じゃないってば。ただの友達だってば」
〜けど 〜けれども、〜が
逆接を表す時に用います。
「落ち込んだりもするけど、私は元気です」 「落ち込んだりもするけれども、私は元気です」
〜ことない 〜くない
形容詞の終止形に接続させて否定形を作りますが、使える範囲は限定的です。範囲の指定は…考え中です。
「そんな方法で解決したかて、いっこもええことないわ」 「そんな方法で解決したって、全然よくないよ」
サ行
〜さかい 〜から、〜ので
理由を表す時に用います。 使用層:高齢者(80代以上)
「ええ話聞いてきたさかいに、あとでこっそり教えたるわ」 「いい話を聞いてきたから、あとでこっそり教えてあげるよ」
〜さす 〜させる
使役の助動詞です。
「宿題ささんとあきませんねんわ」 「宿題させないといけないんですよ」
〜し 〜し
「いきなり好きやなんて言われたかて困るし…」 「いきなり好きだなんて言われても困るし…」
〜しい 〜する人
「お前はほんま要らんことしいやなぁ」 「お前は本当に余計な事をするなぁ」
「ええかっこしいはやめときやぁ」 「格好つけてばかりなんてやめておきなさいね」
〜しな (1) 〜をしている途中
(2) 〜をしようとした時
(1)「行きしなにばったりおうてん」 (1)「行く途中でばったり会ったの」
(2)「寝しなに電話がかかってきた」 (2)「寝ようとした時、電話がかかってきた」
〜す 〜せる
使役の助動詞です。
「遅れそうやし先に行かす方がええかな」 「遅れそうだし先に行かせる方がいいかな」
「あとの事は任したで」 「あとの事は任せたよ」
「ちょっとのまぁ、ここにおらして」 「少しの間、ここに居させて」
タ行
〜たある 〜てある
「先方にはゆうといたあるから、安心して行ってきぃ」 「先方には言っておいてあるから、安心して行って来なさい」
「書いたある説明くらい読みぃや」 「書いてある説明くらい読みなさいよ」
〜たって (1)〜てやって、〜てあげて
(2)〜て(謙譲表現)
(2)第三者に向かって話すような言い方にすることで、謙譲語となります。
(1)「ちょぉ宿題見たって」 (1)「ちょっと宿題を見てあげて」
(2)「みんなこうたってなぁ!」 (2)「みんな買ってね!」
〜たら 〜たら、〜れば
「〜たら」「〜れば」「〜と」等仮定のほとんどが、「〜たら」で行なわれます。
例外は、接続詞に準じた使い方の「そう言えば」「例えば」など数例に限られます。
「はっきりゆうたらええやないの」 「はっきり言えばいいじゃないの」
「試しに行ってみたらええわ」 「試しに行ってみるといいよ」
「そこまでゆうんやったら、見してもらおやないかい」 「そこまで言うのであれば、見せてもらおうじゃないか」
〜たる (1) 〜てあげる、〜てやる
(2) 〜して(謙譲)
(1)「〜てあげる」「〜てやる」の両方の意味を含有しています。
そのため、「〜たる」と言っても、決して「〜てやる」と言ったような上からものを見た言い方とは限りません。
(2)自らを三人称扱いして、その三人称に対して依頼するような形で自分を遜らせる表現方法。
(1)「よっしゃ、今日は僕が奢ったるわ」
(1)「よし、今日は僕が奢ってあげよう」
(2)「いっぺん寄ってみたって下さい」 (2)「一度寄ってみて下さい」
〜ちゃう 〜じゃない
「ダックスフントちゃう?」 「ダックスフントじゃない?」
「財布、そのへんにあんのちゃう?」 「財布はこのあたりにあるんじゃない?」
「うちらはそんな関係ちゃう」 「私達はそんな関係じゃない」
〜ちゅう 〜という
「なんちゅうこっちゃ」 「何という事だ」
〜って 〜ってば
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
元来大阪弁では「〜がな」で表現されますが、年齢が低くなるにしたがって「〜って」の使用が優勢です。
「そら怒られて当然やって」 「それは怒られて当然だってば」
「恋人ちゃうって。ただの友達やって」 「恋人じゃないってば。ただの友達だってば」
〜で 〜よ、〜ぞ
客観的事実、広く認知されている事、相手が了承・理解していると思われる事について述べる時に使います。
また、相手へ注意を促す際など、情報を相手に確実に伝えたい時にも使います。 参照:「〜な」、「〜わ」
「上手い話には裏があるもんやで」 「上手い話には裏があるものだよ」
「そっち行ったら崖やで!」 「そっちに行くと崖だよ!」
〜ていらん 〜てくれなくて良い、〜てもらうことを望まない
…正直申しまして、普段あまり使わない表現なので、ニュアンスも使い方もちょっと曖昧でして(汗。
私は主に「〜てくれんでええ」や「〜てもらわんでええ」を使います。
「身の毛もよだつ恐怖映像?そんなもん見していらんわ」 「身の毛もよだつ恐怖映像?そんなものは見せてくれなくて結構だ」
〜てしもた 〜てしまった
「要らんもんや思たからほってしもたで?」 「要らないものだと思ったから捨ててしまったよ?」
「いつの間にか寝てしもてた」 「いつの間にか眠ってしまっていた」
〜ててん 〜ていたんだ
「向こうの水槽でジンベイザメ見ててん」 「向こうの水槽でジンベイザメを見ていたんだ」
〜てた 〜ていた
「あの子ぉやったらさっきまでそこに座ってたで?」 「あの子ならさっきまでそこに座っていたよ?」
〜でな 〜よね
「あんなきちゃない川、飛び込む奴おれへんでなぁ」 「あんな汚い川、飛び込む奴いないよね」
〜てへん 〜ていない
「そういえば最近おうてへんなぁ」 「そういえば最近会っていないねぇ」
〜てへんかった 〜ていなかった
「ごめん。聞いてへんかったわ」 「ごめん。聞いていなかったよ」
〜ても 〜ても
「そんなに見ぃたいねんやったら見てもええけど…」 「そんなに見たいのなら見てもいいけれども…」
「何べん呼んでも返事せぇへん」 「何度呼んでも返事をしない」
〜てもうた (→〜てしもた)
〜てる 〜ている
「マリア様がみてる」 「マリア様がみている」
〜てん 〜たんだ、〜たの
終助詞「ねん」の過去形版。過去形の場合は「〜したねん」とならず、「〜してん」となります。要注意です。
「実は魔法少女やってん」 「実は魔法少女だったの」
「昨日、梅田でこうて来てん」 「昨日、梅田で買って来たんだよ」
〜てんか 〜ておくれ、〜てくれよ、〜てちょうだいよ
「ちょぉ、はよしてんか。時間ないで」 「ちょっと、早くしてくれよ。時間がないぞ」
〜てんと (1) 〜ていないで
(2) 〜ていないと
(1)「あほな事ばっかりゆうてんと、はよしぃや」 (1)「馬鹿な事ばかり言っていないで、早くしなさいよ」
(2)「わろてんとやってられへん」 (2)「笑っていないとやっていられない」
〜とき (1) 〜ておきなさい
(2) 〜ていなさい
(1)「今日中に宿題終わらしておきやぁ」 「今日中に宿題を終わらせておきなさいよね」
(2)「ちゃんと前見とき!」 「ちゃんと前を見ていなさい!」
〜とく 〜ておく
「明日までにはしときますんで」 「明日までにはしておきますので」
〜とくんなはれ 〜て下さい
敬語ですが、若年層では使われなくなってしまいました。
「騙された思ていっぺん食べてみとくんなはれ」 「騙されたと思って一度食べてみて下さいよ」
〜とちゃう (→〜ちゃう)
〜とった 〜ていた
「さっきそのへんふらついとったで?」 「さっきそのあたりをふらついていたよ?」
〜とる 〜ている
大阪弁だと思われがちですが、「〜とる」の使用は大阪弁において荒っぽい表現になりますので使用はなるべく避けられたいです。
過去形の「〜とった」はこれにあたりませんが、敬語表現との併用はあまり聞かれないように思われます。
「またひとに宿題見してもろとるで、あいつ」 「また他人(ひと)に宿題を見せてもらっているぜ、あいつ」
ナ行
〜な 【その1】 (1) 〜ね(文中・文末)
(2) 〜よ、〜だよ
(3) 〜なければ、〜ないと
(1) この「な」は大抵「なぁ」と伸ばして使います。
(2) 強調や呆れを表現します。
(3) 動詞の仮定表現です。動詞の未然形に接続させます。
(1)「ほんでなぁ、昨日なぁ、それからなぁ」 (1)「それでね、昨日ね、それからね」
(2)「はよ行こぉな」 (2)「早く行こうよ、全く」
(3)「はよ行かなええ場所取られんで!」 (3)「早く行かないといい場所取られるよ!」
〜な 【その2】 〜な
「〜なぁ」に比べて「〜な」は強い命令を表します。動詞の連用形に接続します。
「あんまりじろじろ見な」 「あまりじろじろ見るな」
「落ち込みな!ぷよぷよしな!」 「落ち込むな!ぷよぷよするな!」
〜なぁ 〜なさいね
「〜なぁ」は、「〜な」に比べて柔らかい命令となります。動詞の連用形に接続します。
語幹が一文字の動詞の場合は長音化させます。
「おひさん沈むまでには帰ってきぃなぁ」 「日没までには帰って来なさいね」
「明日のマラソン大会、頑張りなぁ」 「明日のマラソン大会、頑張りなさいね」
〜なあかん 〜なければならない
動詞に接続する場合に用いる型です。動詞の未然形に接続させます。
「ちゃんと気持ちを伝えなあかんねん」 「ちゃんと気持ちを伝えなければならないんだ」
〜ないとあかん 〜なければならない
形容詞に接続する場合に用いる型です。
形容詞の語幹に接続させますが、二拍形容詞の場合は語幹を長音化して接続させます。
「保存場所は涼しないとあかん」 「保存場所は涼しくなければならない」
「ソースは濃うないとあかん」 「ソースは濃くなければならない」
〜なさんな 〜てはいけませんよ、〜なさるな
丁寧な表現ですが、目上の相手には使えません。
「そんな事しなさんな」 「そんな事してはいけませんよ」
〜なはれ 〜なさいよ
丁寧な命令の表現ですが、目上の相手には使えません。詳細はLESSON 3 敬語をご覧下さい。
「しっかりしなはれ」 「しっかりしなさいよ」
〜なや 〜なよ
禁止の命令を表します。動詞の連用形に接続させます。
「悪口ばっかし言いなや」
「悪口ばかり言うなよ」
「無理してぎょうさん食べなや」 「無理してたくさん食べるなよ」
〜なん 〜なの
疑問や感嘆を表す時に用います。
「まだ帰省中なん?早よ戻ってきぃなぁ」 「まだ帰省中なの?早く戻って来なさいね」
〜ねやろ (→〜ねんやろ)
〜ねん 〜んだ、〜んだよ、〜の(文末)
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「ちゃうねん」 「違うの」
「君の笑顔を見れるだけで嬉しいねん」 「君の笑顔を見られるだけで嬉しいんだ」
「今日これから会議ですねん」 「今日はこれから会議なんですよ」
「明日、九州へ出張行きますねん」 「明日、九州へ出張に行くんです」
〜ねんて 〜んだって
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「あの子ぉ、裏ではすごいねんて」
「あの子、裏ではすごいんだって」
「それがあの人のやり方ですねんて」 「それがあの人のやり口なんですって」
〜ねんな (1) 〜んだよね、〜のよね
(2) 〜んだよ、〜のよ
「〜ねんな」は、すでに紹介しております「〜ぃな」が、「〜ねん」と接続する際に、
「ねん」+「ぃな」→「ねんぃな」→「ねんな」 と変化したものかと思われます。
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
(2)訴えのニュアンスが濃厚な際に使います。
(1)「ところがそれがちゃうねんな」 (1)「ところがそれが違うのよねぇ」
(2)「どこにあんねんな!」 (2)「どこにあるんだよ!」
(2)「さっきから何してはりますねんな」 (2)「さっきから何をしていらっしゃるんですか」
〜ねんもん 〜んだもの
「そんな事言われたかて、さっき聞いたとこやねんもん」 「そんな事を言われても、さっき聞いたところなんだもの」
〜ねんや 〜んだ
独白。新情報を知った時や独り言の時に使います。
「そやねんや!」 「そうなんだ!」
「もう恋人おんねんや…」 「既にもう恋人が居たんだ…」
「もうええねんや…」 「もういいんだ…」
〜ねんやろ 〜んだろ、〜んでしょう
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「なんでお腹空くねんやろ」 「何故お腹が減るのだろう」
「明日もバイトやねんやろ?」 「明日もバイトなんでしょ?」
「これからどうなりますねんやろ」 「これからどうなるのでしょう」
〜ねんわ 〜んだよ、〜のよ
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「それでも行ってまうねんわ」 「それでも行ってしまうのよ」
〜の (→〜のん、→〜ん)
〜のん (1) 〜の
(2) 〜のもの、〜もの
(3) 〜の、〜事
(1)丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
(1)-(3)「〜ん」とも言います。 (→〜ん)
(1)「これからどうしますのん?」
(1)「これからどうするんですか?」
(2)「私のん、どっちー?」「ちっちゃいのんが君のんや」 (2)「私のものはどっち?」「小さいのが君のだ」
(3)「食べんのん早いなぁ」 (3)「食べるのが早いねぇ」
ハ行
〜はる 〜らっしゃる
敬語の助動詞。「〜やる」に比べ、敬意が高いです。詳細はLESSON 3 敬語をご覧下さい。
「何してはりますのん?」 「何をしていらっしゃるんですか?」
「おうどん食べはります?」 「うどんを召し上がりますか?」
〜ひん 〜ない
上一段動詞、カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞の通常の否定表現の時に使用します。LESSON 1 動詞に詳細がございます。
「なんぼ起こしたかて起きひんねん」 「いくら起こしても起きないんだよ」
〜へん 〜ない
五段活用動詞、下一段動詞、カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞の通常の否定表現の時に使用します。
LESSON 1 動詞に詳細がございます。
「言えへん、見ぃひん、聞けへん」 「言わない、見ない、聞かない」
「言われへん、見えへん、聞かれへん」 「言えない、見えない、聞けない」
〜へんかって (〜ひんかって) 〜なくて
「〜へんかって」は五段活用動詞、下一段動詞、カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞に、
「〜ひんかって」は上一段動詞、カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞に接続します。
「時間通りに着かれへんかってごめんなぁ」 「時間通りに着けなくてごめんね」
〜へんかっても (〜ひんかっても) 〜なくても
「今日は仕事せぇへんかってもええねん」 「今日は仕事をしなくてもいいの」
〜へんく (〜ひんく) (→〜んく)
若者言葉
〜へんだ 〜なかった
動詞の否定表現の過去形です。 使用層:壮年以上
「結局病院行けへんだ」 「結局病院へ行かなかった」
「昼寝もあんましせぇへんだ」 「昼寝もあまりしなかった」
〜へんでん 〜なかったんだよ
使用層:壮年以上
「お腹痛ぁて寝られへんでん」 「お腹が痛くて眠れなかったんだよ」
〜へんようになる
(〜へんようなる・〜ひんようになる・〜ひんようなる)
(→〜んようになる (〜んようなる))
マ行
〜まう 〜しまう
共通語と同型の「〜しまう」も使います。どちらを使うかは個々人レベルの問題のようです。
「はよ来な食べてまうで」 「早く来ないと食べてしまうよ」
「困ってもーてわんわん泣く」 「困ってしまってわんわん泣く」
〜もって 〜ながら
共通語と同型の「〜ながら」も使います。ただ「〜もって」を使う事によって、共通語と大阪弁の差は出しやすくなります。
「食べもって喋りなさんな」 「食べながら話してはいけませんよ」
〜もん 〜もの、〜もん
「せやかて好きなもんは好きやねんもん」 「そう言われても好きなものは好きなんだもの」
ヤ行
〜や 【その1】 (1) 〜だ
(2) 〜だよ
(3) 〜じゃ、〜では
(2) 純然たる事実などを述べるときに使用。
(3) 東京弁等で「じゃ」となる「では」(例:「あいつじゃ敵わない」の「じゃ」)は、大阪弁では共通語と同じく「では」のままです。
(1)「そらチッチキチーや」 (1)「それはチッチキチーだ」
(2)「地球の一生から見たら人間の一生なんてちっぽけなもんや」 (2)「地球の一生から見れば人間の一生なんてちっぽけなものだよ」
(3)「ちゃうちゃう、そうやない」 (3)「違う違う、そうではない」
〜や 【その2】 (1) 〜よ(強い強調)
(2) 〜なさいよ(命令)
「食べなさいよ」は「食べぇや」。「食べろや」というのは、東京方言での言い方であり、
命令の度合いも大阪弁のそれに比べ、より強いものです。
(2)直前の動詞の活用語尾を長音化する「〜や」は、「〜や(ぁ)」に比べて強い命令となります。
(1)「はよ行こぉや」 (1)「早く行こうよ」
(2)「ちゃっちゃと食べぇや」 (2)「さっさと食べなさいよ」
〜やぁ 〜なさいね
直前の動詞の活用語尾を長音化しない※「〜や(ぁ)」は、「〜や」に比べて柔らかい命令となります。動詞の連用形に接続します。
※語幹が一文字の動詞の場合は長音化させます。
「はよ食べやぁ」 「早く食べなさいね」
「もう寝ぇやぁ」 「もう寝なさいね」
〜やす 〜なさいませ
詳細はLESSON 3 敬語をご覧下さい。
「おこしやす」 「いらっしゃいませ」
〜やったら 〜だったら、〜なら
「〜なら」は大阪弁ではまず使われません。
「それでええねんやったらそれでええ」 「それでいいのであればそれでいい」
〜やって 〜で、〜であったため
過去の出来事を説明するときに用います。
「昨日は隣が引越しやって、おっきいトラックが停まっとった」 「昨日は隣が引越しで、大きなトラックが停まっていた」
「お風呂屋さん行ったら一番乗りやってな、ゆったり出来たわ」 「銭湯へ行ったら一番乗りでね、ゆったり出来たよ」
〜やないの 〜じゃないの
注意するときに諭すように使用。「〜ちゃう」や「〜ことない」との使い分けに注意。
(例)「あかんやないの!(=駄目じゃないの!)」【注意】
   「あかんのんちゃう?(=駄目じゃない?)」【疑問】
   「あかんことない!(=駄目じゃない!)」【否定】
「せやからさっきからそうゆうてるやないの!」 「だからさっきからそう言っているじゃないの!」
〜やなしに 〜ではなくて
「〜やのうて」とも言う。
また、最近では共通語化・東京弁化の波で、若年層では「〜やなくて」が主流。「〜やなぁて」や「〜やなて」とはならない。
「そやなしにやなぁ…ゆうてる事分かる?」 「そうではなくてだねぇ…言っている事分かる?」
〜やねん 〜なんだ、〜なんだよ、〜なの
但し、独り言等、伝える相手がいない場合は、「〜やねん」ではなく、「〜やねんや」(もしくは「〜なんや」)を用います。
「好きやねん!」 男性の場合:「好きなんだ!」
女性の場合:「好きなの!」
「最上階からの眺めが最高やねん」 「最上階からの眺めが最高なんだよ」
〜やの 〜なの
疑問や感嘆を表す時に用います。「〜なん」よりも語勢の強い表現です。
「なんであんたはいっつもそう要らんことしぃやの!」 「何故あんたはいつもそう余計な事ばかりするの!」
〜やのうて (→〜やなしに)
〜やのに 〜なのに
「〜のに」は共通語と同じく「〜のに」です。
「まだ3歳やのに、九九がゆえんねんて」 「まだ3歳なのに、九九が言えるんだって」
〜やる 〜れる、〜られる
敬語の助動詞です。「〜はる」に比べ敬意は低いです詳細はLESSON 3 敬語をご覧下さい。
「今日も先生、ためになる生活の知恵を話しやるで」 「今日も先生がためになる生活の知恵を話されるよ」
〜やろ 〜だろう、〜でしょう
「〜だろう」「〜でしょ」両方の意味を含有しています。
そのため、「〜やろ」と言っても、決して「〜だろ」のようなぞんざいな言い方でもなく、また相手に対して親近感を覚えているとも限りません。
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「さっきゆーたとこやろ?」 「さっき言ったところでしょ?」
「そろそろ帰りますやろ?」 「そろそろ帰りますでしょ?」
〜やろか 〜だろうか、〜かしら
「そろそろ着いた頃やろか」 「そろそろついた頃かしら」
〜やろが 〜だろが、〜だろうが、〜でしょうが
「お茶漬けやろが!」 「お茶漬けでしょうが!」
〜やろな 〜だろうね、〜でしょうね、〜だろうな
「あの子の娘やったらきっとべっぴんさんになるやろなぁ」 「あの子の娘ならきっと美人になるだろうねぇ」
〜やん (1) 〜じゃないの、〜じゃないか
(2) 〜よ、〜ね(文中)
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
(2)相手の知らない話をする際の文節の繋ぎとして、文中で使われます。
(1)「もうええやん」 (1)「もういいじゃないの」
(1)「さっきからあの人、こっち見てわろてはるやん」 (1)「さっきからあの人、こっちを見て笑ってらっしゃるじゃないの」
(1)「定休日ですやん」 (1)「定休日じゃないですか」
(2)「私、寝相悪いねんやん、ほんでなぁ(略)」 (2)「私って寝相が悪いのよ、それでね(略)」
〜やんか (1) 〜じゃないか
(2) 〜よ、〜ね(文中)
(2)相手の知らない話をする際の文節の繋ぎとして、文中で使われます。この「やんか」は、大抵「やんかぁ」と伸ばして使います。
(1)「ちゃんと並ばなあかんやんか」 (1)「ちゃんと並ばなければいけないじゃないか」
(2)「昨日なぁ、図書館行ってきてんやんかぁ、そしたら(略)」 (2)「昨日ね、図書館へ行ってきたんだけれどもね、そうしたら(略)」
〜やんな 〜よね、〜だよね
丁寧語「です」「ます」のあとに接続出来ます。
「俺ら、親友やんな!」 「俺達、親友だよな!」
「さっきもゆうてたやんな」 「さっきも言っていたよね」
「勿論明日の会合、参加しますやんなぁ?」 「勿論明日の会合、参加しますよね?」
〜ゆう 〜という
広島弁として有名な「と抜け」(「xxという」の「と」が抜けて、「xxいう」といった表現方法)が、大阪弁でもよく起こります。
「還暦ゆう事は、60歳ゆう事か」 「還暦という事は、60歳という事か」
よう〜ん (1) (能力・力量の問題で)出来ない
(2)
(気持ちの問題で)出来ない。とても〜する気になれない。
(1)「〜(ら)れへん」で能力不可能を表すことも出来ます。詳しくはLESSON 1 動詞内「可能動詞と不可能表現」に記載しております。
(1)「こんな急な崖、よう登らんわ」 (1)「こんな急な崖、登れないよ」
(2)「あの人こわいやんかぁ…文句なんてよう言わんわ」 (2)「あの人恐ろしいでしょ…文句なんて言えないよ」
〜よって 〜から、〜ので
理由を表す時に用います。 使用層:高齢者
「梅雨やよって、なかなか洗濯もん乾けへんわ」 「梅雨だから、なかなか洗濯物が乾かないねぇ」
〜よる 〜やがる
実際には「〜やがる」よりは侮蔑度が低いように思われます。
「またあいつ鼻ほじりよるわ」 「またあいつ鼻をほじっていやがるよ」
ワ行
〜わ 〜よ、〜ね
意思、推量、吐露、自身に関する事の肯定等、主観的な事の肯定を伝達する時に使います。 参照:「〜で」、「〜な」
「僕もそう思うわ」 「僕もそう思うよ」
「明日また来るわ」 「明日また来るよ」
「急にそんなん言われたかて信じられへんわ」 「急にそんな事言われても信じられないよ」
〜わな (1) 〜よね
(2) 〜よ、〜ね
 (2)自分の意思を伝えるときに用います。基本的に次に取る行動についての事前報告が多いです。
(1)「そら誰でも怒るわなぁ」 (1)「それは誰でも怒るよね」
(2)「ほなそろそろ帰るわな」 (1)「ではそろそろ帰るね」
〜ん (1) 〜ない
(2) 〜の
(3) 〜事
(1)(動詞の、強い否定表現の時に使います。LESSON 1 動詞に詳細がございます。
(2)「〜のん」とも言います。 (→〜のん)
(1)「何があっても絶対に言わん!」 (1)「何があっても絶対に言わない!」
(2)「丸いんと四角いん、どっちがええ?」 (2)「丸いのと四角いのではどっちがいい?」
(3)「そんなん知らんわ」 (3)「そんな事知らないよ」
〜んかい 〜ろよ
強い命令を表します。
「はよ直さんかい」 「早く片付けろよ」
〜んく 〜なく
若者言葉。動詞に接続します。
「あんまこぉへんくなっちゃったやんな」 「あまり来なくなってしまったよね」
「あかんくなる前にどうにかせんと」 「駄目になる前にどうにかしないと」
〜んで 〜なくて
「別に無理やり来んでええて」 「別に無理やり来なくていいってば」
〜んでも 〜なくても、〜なくたって
「そんななんべんも言わんでもええやん」 「そんな何度も言わなくてもいいじゃないか」
〜んと (1) 〜ないと
(2) 〜ないで、〜ずに
(1)「はよせんと置いて行かれてまうで」 (1)「早くしないと置いて行かれてしまうよ」
(2)「ごはんも食べんと寝てしもた」 (2)「ごはんも食べずに寝てしまった」
〜んといて 〜ないで
依頼・軽い命令や条件を表します。
「スクール水着を脱がさんといて!」 「スクール水着を脱がさないで!」
「講義に出んといて単位もらお言うんが厚かましいねん」 「講義に出ないで単位をもらおうという考え方が厚かましいんだよ」
〜んとく 〜ないでおく
「いらんもんは買わんとく」 「余計なものは買わないでおく」
〜んとこ 〜ないでおこう
「そんな怖いとこやねんやったら行かんとこ」 「そんなに怖いところなのであるならば行かないでおこう」
〜んならん 〜なければならない
使用層:老年層。動詞に接続する場合に用いる型です。動詞の未然形に接続させます。
「明日の午前中は病院行かんならんねん」 「明日の午前中は病院へ行かなければならないんだよ」
〜んようになる (〜んようなる) 〜なくなる
動詞に接続します。
「あんまりけぇへんようになってしもたなぁ」 「あまり来なくなってしまったねぇ」
「あかんようならんうちに頑張らな」 「駄目にならないうちに頑張らないと」
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